AI開発を手がける米OpenAIが、ヒューマノイドロボットやスマートデバイスの開発に乗り出す可能性が出てきた。同社が米国特許商標庁(USPTO)に商標を申請したことで、AIを活用した新たなハードウェア事業の展開が浮かび上がった。
申請には、AIを搭載したロボットのほか、スマートウォッチやAR/VRヘッドセット、スマートジュエリーなど、多岐にわたる製品が含まれている。サム・アルトマンCEOは、複数の企業と協力しながら開発を進める考えを示しており、OpenAIのハードウェア分野への進出が本格化する可能性が高まっている。
ヒューマノイドロボット開発に本腰か
今回の商標申請で特に目を引くのが、「ユーザーがプログラム可能なヒューマノイドロボット」という項目だ。これは、利用者が用途に応じて設定できるAI搭載ロボットの開発を視野に入れていることを示している。
OpenAIはこれまでにも、Figure AIや1X Technologiesといったロボティクス関連のスタートアップ企業に投資してきた。昨年からは、ロボット研究を進めるためのエンジニア採用を強化しており、ヒューマノイドロボット開発への意欲は明らかだ。今後、実用化に向けた動きが加速する可能性がある。
AI搭載のスマートデバイスも開発か
申請には、AIアシスタント機能を備えたスマートウォッチ、イヤホン、AR/VRヘッドセットなども含まれている。これらのデバイスは、OpenAIの生成AI技術を活用し、より直感的な操作やパーソナライズ機能を提供するものとみられる。
アルトマンCEOは、これらのデバイスをOpenAI単独で開発するのではなく、ハードウェア企業と提携して進める考えを示している。提携先としては、既存のテック企業だけでなく、新興企業も候補に挙がっているようだ。今後の発表次第では、スマートデバイス市場に新たな競争が生まれる可能性がある。
AIチップの開発と量子コンピューティングの活用
商標申請の中には、AIモデルの処理能力を最適化する専用チップの開発も含まれていた。OpenAIは、NVIDIAのGPUに依存せず、独自のチップを開発することでAIの性能向上を目指しているとみられる。
特に注目すべきは、「量子コンピューティングを活用する」との記述だ。量子技術を活用することで、膨大なデータ処理をより高速かつ効率的に行える可能性がある。現在のところ詳細な計画は明らかになっていないが、今後のAI開発の鍵となる分野であることは間違いない。
ハードウェア分野に進出するOpenAIの狙い
OpenAIはこれまで、ChatGPTをはじめとするソフトウェア開発に注力してきた。しかし、今回の商標申請を見る限り、ハードウェア分野への進出を本格的に検討しているのは確かだ。
AIを搭載したロボットやスマートデバイスは、今後ますます需要が高まると予想される。OpenAIがこれらの市場にどのような形で参入するのか、今後の動向に注目が集まる。