米国国土安全保障省(Department of Homeland Security、以下DHS)は2025年1月7日、政府機関向けの生成AI導入ガイドライン「公的部門における生成AI展開プレイブック」を発表しました。
生成AI(Generative AI)とは、テキストや画像、音声などの新しいコンテンツを自動的に作り出すことができる人工知能技術のことです。ChatGPTなどの対話型AIもこの技術の一例です。
目次
ガイドラインの目的と特徴
このプレイブックは、連邦政府から地方自治体まで、様々な政府機関がAI技術を安全かつ効果的に導入するための手引書となります。DHSが実際にAIを導入した経験に基づいて作成されており、具体的な事例や実践的なアドバイスが含まれているのが特徴です。
主な導入指針
プレイブックでは、以下のような重要なポイントが示されています:
- 目的に合わせたAI活用:各機関の業務目標に合致したAIプロジェクトを選び、具体的な成果を目指すこと
- 組織づくりと管理体制:経営層の支持を得た上で、部門を超えた協力体制を構築すること
- 既存システムの活用:すでにある技術やシステムを活用し、効率的にAIを開発すること
- 安全性の確保:個人情報の保護やセキュリティ対策を重視し、倫理的な配慮を行うこと
DHSによる実践例
DHSは、すでに以下のような分野でAIを活用しています:
- 捜査支援:大規模言語モデル(人間の言語を理解・生成できるAI)を使用して、大量の情報から重要な手がかりを素早く見つけ出す
- 災害対策:地方自治体が自然災害への対策計画を立てる際の支援
- 職員研修:移民局職員向けの新しい研修プログラムの開発
今後の課題
一方で、以下のような課題への対応も必要とされています:
- データの質と公平性の確保
- 各国の規制への対応
- サイバー攻撃からの保護
このガイドラインの公開により、今後多くの政府機関でAI技術の導入が進むと予想されます。市民サービスの向上や業務の効率化が期待される一方で、個人情報の保護や安全性の確保にも十分な注意が払われることになります。